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2026年に入って急に広まった「ナフサショック」という言葉に、こんな不安や疑問を感じている人も少なくありません。
ナフサは、プラスチックや塗料、住宅の建材まで、暮らしのあらゆる製品の原料になる石油化学のもとです。だからこそ、ナフサの不足や値上がりは、日用品から家づくりまで、私たちの生活に幅広く関わってきます。また、SNSでは「すぐになくなる」といった情報も飛び交い、何が本当なのか分かりにくくなっているのも事実です。
本記事では、ナフサショックとは何かという基本から、「デマなのか本当なのか」という疑問、そして暮らし・住宅への具体的な影響、いつまで続くのか、使える補助金や備え方まで、まるごと整理して解説します。
むずかしい専門用語はできるだけ使わず、わかりやすくお伝えするので、ぜひ最後まで読んでみてください。
本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。最新の動向は、経済産業省などの政府公式発表をご確認ください。

本サイト内の一部画像は生成AIツールで作成しています。

ナフサは原油から精製される石油化学原料で、断熱材や配管、キッチン設備など、住宅に使われる多くの製品のもとになっています。2026年に入ってナフサの価格が急騰し、建材や設備の値上げ・納期遅延という形で、家づくりに直接影響し始めました。
そもそもナフサとは何か、なぜ今ナフサショックと呼ばれる事態になっているのかを、わかりやすく解説します。
それでは、わかりやすく解説していきます。
ナフサとは、原油を蒸留して取り出される石油化学原料のことです。ガソリンに似た透明な液体で、プラスチックや塗料、合成ゴムといった身の回りの化学製品をつくるもとになっています。


原油はそのままでは化学製品になりません。製油所で約350度に加熱し、沸点の違いを利用して成分を分けていく過程の、30〜180度あたりで取り出されるのがナフサです。原油全体のうちナフサになるのは1割ほどといわれています。
このナフサを高温で熱分解すると、エチレンやプロピレン、ベンゼンなどの基礎化学品が生まれ、プラスチックや繊維、塗料へと加工されていきます。
むつごろーつまりナフサは、いろいろな石油化学製品のもとなんです。
住宅にはナフサ由来の素材があちこちに使われています。



家中のほとんどにナフサが使われているんですね。
このように、ナフサは原油から精製される石油化学原料であり、家づくりに使う建材・設備の多くで使われています。だからこそ、ナフサの価格や供給が不足すると、その影響が住宅にまで連鎖していきます。
ナフサショックとは、ナフサの価格急騰と供給不足が同時に起こり、ナフサ由来製品の値上げ・受注停止・納期遅延が連鎖する現象です。ナフサはプラスチックや塗料などの原料なので、影響は建材だけでなく、日用品・医療資材・自動車部品にも広がります。





家づくりでは、建材・設備の値上げや受注停止、納期遅延につながってきます。
原料の値上がりや品薄は、原料メーカーから建材・設備メーカーへ、最終的にハウスメーカー・施主へと影響が広がっていきます。
家づくりに欠かせない断熱材は約40%、塗料は最大80%規模の値上げが進み、塩ビ管などプラスチック製品にも影響しユニットバスではTOTOが新規受注を一時停止しました。



5月中旬以降は受注が再開しても、価格改定が連鎖的に続いています。
価格高騰と供給不足が重なり、その負担が最終的に私たちに連鎖していくのがナフサショックの怖さです。家づくりでは値上げや引き渡し遅れとしてあらわれ、検討中の施主や建築中の施主に直接影響します。
2026年に入り、ナフサの価格は急騰し、過去最高水準まで上昇する見通しです。原料が上がれば建材や設備の値上げにつながります。



家づくりを考える施主も見逃せません。
国産ナフサの基準価格は、少し前の輸入価格をもとに四半期ごとに決まります。2026年1〜3月期は急騰前の輸入価格が反映されたため、前の期とほぼ横ばいでした。一方で4〜6月期は、跳ね上がった輸入価格が反映され、価格が一気に上がる見込みです。
化学工業日報によると、1〜3月期の国産ナフサ基準価格は1キロリットルあたり約65,700円でほぼ前期並みですが、これに対し4〜6月期は2倍近くに上昇するとみられ、金額・上昇幅ともに過去最高を大幅に更新する可能性が高いとされています。


ナフサ価格はいま、記録的な高さへ上昇している最中です。この価格上昇が建材や住宅設備の値上げとなって、これから家づくりする人の負担となってきます。


ナフサの価格は2026年に入って急騰し、建材や住宅設備の値上げという形で家づくりに影響しはじめました。そうなると気になるのが、「そもそも、誰のせいでこんなことになっているの?」という点ではないでしょうか。



実は、ナフサショックの原因はひとつではありません。
中東情勢と日本の石油化学産業がかかえる構造的な事情、日本だけ深刻と言われる背景を、わかりやすく整理していきます。
それでは、一つずつ順番にみていきましょう。
ナフサショックの直接の引き金になったのは、2026年2月末に起きた中東情勢の悪化です。米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃をきっかけに、原油輸送において重要なホルムズ海峡が事実上の封鎖状態に陥りました。
ホルムズ海峡は、世界で消費される石油の約2割が通過する海の要所です。しかも日本は原油の多くを中東に頼っているため、ホルムズ海峡の影響をまともに受けてしまいます。ホルムズ海峡の封鎖でタンカーが航行できなければ、原油やナフサを手に入れることができず、供給が滞り価格が跳ね上がる流れです。







日本はナフサの多くを中東各国に頼っています。
実際、WTI原油先物価格は急騰しました。イランへの軍事攻撃前に1バレル60ドル前後だったWTI原油は、3月6日には一時90ドル近くまで上昇。その後ピーク時には110ドルを超え、約4年ぶりの高値水準となりました。





原油と連動するナフサの価格も大きく値上がりし、建材・住宅設備の値上げや工期の遅れに影響がでています。
ナフサショックの最初のきっかけは米国とイスラエルによるイランへの軍事攻撃による、中東情勢の悪化とホルムズ海峡の封鎖でした。遠い中東の出来事が、巡り巡って日本の家づくりに大きく影響しているのです。
ナフサショックの引き金が中東危機だとするならば、その被害を大きくしてしまったのは、日本の石油化学産業の構造的な弱さが重なってしまったからと言えるでしょう。
日本の石化産業はここ10年ほど、縮む国内需要と中国の安い製品の流入に押され、設備や生産能力の縮小を迫られてきました。国内に12基あるエチレン製造設備の多くは老朽化が進み、2014年以降にすでに3基が停止し稼働率も低い水準が続いています。
さらに、原料となる原油やナフサの多くを輸入に頼っているため、海外情勢の影響を受けやすく供給不足に陥ってしまいます。



京葉地区では丸善石油化学が2026年、出光興産が2027年にエチレン生産を停止する予定です。
日本国内の生産能力が落ち、原料も海外頼みという状態に中東情勢の悪化が重なり、価格上昇や供給不足を回避することができませんでした。
原油やナフサ不足は世界中で起きているのに、日本だけが深刻な状況なのは、複数の事情が重なって、日本が特に影響を受けやすい構造になっていると考えられます。
理由は大きく3つあります。
原油やナフサの約8割を中東に依存している中で円安のいま、供給不足によるコストアップと、さらに、為替によるコストアップの追い打ちを食らってしまう構造となっています。



そうなら、中東以外から調達すればいいんじゃないの?
中東以外からの調達は、その場限りのスポット購入が中心で割高になりやすく、必要な量を継続して確保することは簡単ではありません。国内減産・中東依存・円安為替が同時に重なり、日本では値上げや品薄が表面化しやすくなっています。





「何がなくなるの?」「何が値上がるの?」
ナフサは、トイレットペーパーや洗剤といった日用品から、食品の包装、家の建材、さらには医療や自動車の部品まで、幅広い製品の原料になっています。



値上げや品薄が起きやすいものを分野ごとに整理し表にまとめてみました。
| 製品 | 値上げ・影響の動き |
|---|---|
| トイレット ペーパー | 大王製紙が全品15%以上値上げ (2026年8月1日納品分〜) |
| 洗剤 | 花王が今夏値上げ (幅は未公表) |
| ラップ | 旭化成がサランラップ値上げ (幅・時期は未発表) |
| 歯ブラシ | サンスターが全品約8〜15%値上げ (2026年4月1日着荷分〜) |
| 製品 | 値上げ・影響の動き |
|---|---|
| ポテトチップス | カルビーが14商品の パッケージを変更 (5月25日週〜) |
| ビスケット | 野村煎豆加工店の 一部商品が生産停止 (超ビッグパック4/23〜) (4連ミレー6/1〜) |
| ペットボトル 飲料 | 容器の原料高により、 夏以降の値上げが懸念 |
| 製品 | 値上げ・影響の動き |
|---|---|
| 樹脂サッシ ドア | リクシルがサッシ平均5%、 ドア平均5%値上げ (5/1受注分〜) (10月受注分〜平均13%) ビルサッシは平均7% (4/1〜平均10%) |
| 塩ビ管 ポリエチレン管 | 積水化学工業が塩ビ管12%以上、 ポリエチレン管20%以上 (5/7出荷分〜) カラーパイプは30%以上 |
| 断熱材 | 約40%規模 |
| 塗料 | 30〜80%規模 |
| 対象 | 値上げ・影響の動き |
|---|---|
| 注射器 点滴バッグ 透析チューブ | 一部の医療品が 4月半ば〜8月ごろに 供給不足の可能性 |
| 内装部品 配線 タイヤ | 代替のない部品の不足で 生産が滞る懸念 |
| 電子部品 | 国内製造業の約3割に 調達不足の懸念 |
一緒にチェックしていきましょう。
身近な日用品の多くは、ナフサショックの影響を受けます。ただし、製品によって影響の出方は違います。



ナフサが関わる範囲は商品によって異なります。
たとえば、トイレットペーパーの本体は古紙パルプが中心で、ナフサが使われるのは外側の包装フィルムだけです。洗剤や歯ブラシは、容器や本体の一部にナフサ由来のプラスチックが使われます。そしてラップにいたっては、ほぼ全体がプラスチックなので、製品そのものがナフサ由来です。


2026年4月には、ある専門家の「6月に詰む」という発言をきっかけに、SNSで品薄不安が広がりました。これに対し高市首相はXで「事実誤認」と反論し、業界団体も在庫や代替調達の状況を説明しています。トイレットペーパーは本体の供給がすぐ尽きるわけではなく、コロナ禍のような買い占めは不要だといえます。



日用品は、容器や包装のコストアップでじわじわと値上げにつながっていきそうですね。
トイレットペーパーをはじめ、今すぐ店頭から消える。というより、価格や包装に影響すると捉えるのがよいでしょう。あわてて買いだめするのではなく、価格の変化を冷静に見ていくのが大切です。
| 製品 | 値上げ・影響の動き | 主な発表元 |
|---|---|---|
| トイレット ペーパー | 大王製紙が全品15%以上値上げ (2026年8月1日納品分〜) | 大王製紙 |
| 洗剤 | 花王が今夏値上げ (幅は未公表) | 花王 /日経新聞 |
| ラップ | 旭化成がサランラップ値上げ (幅・時期は未発表) | 旭化成 /西日本新聞 |
| 歯ブラシ | サンスターが全品 約8〜15%値上げ (2026年4月1日着荷分〜) | サンスター |
食品分野への影響は食べ物そのものより、食品を包む包装・容器・フィルム・インクの部分にあらわれます。パッケージの印刷インクや、ペットボトルの樹脂などに、ナフサ由来の素材が使われているからです。
たとえばカルビーは、ポテトチップスのうすしお味やコンソメパンチなど計14商品のパッケージを、カラーから白黒2色に変えました。これは中東危機による印刷インク不足を受けた対応で、インクの原料となる溶剤や樹脂が、ナフサ不足で品薄になっているためです。



生産がストップしないようにパッケージを改良して対応しています。
また、ミレービスケットでも、包装材の入荷の遅れから一部商品が生産停止になりました。こちらも中身ではなく、袋(包装材)の問題です。ペットボトルも、本体のPET樹脂がナフサ由来なので、夏以降の飲料の値上げが心配されています。





包装や容器のコストアップや供給不足の影響を受けていますね。
食品分野では一部生産停止をしているものの、すべてのお菓子や飲料がすぐ店頭から消えるというより、まずパッケージの簡素化や価格に影響があらわれていきそうです。
| 製品 | 値上げ・影響の動き | 主な発表元 |
|---|---|---|
| ポテトチップス | カルビーが14商品の パッケージを変更 (5月25日週〜) | カルビー |
| ビスケット | 野村煎豆加工店の 一部商品が生産停止 (超ビッグパック4/23〜) (4連ミレー6/1〜) | 共同通信 |
| ペットボトル 飲料 | 容器の原料高により、 夏以降の値上げが懸念 | 暮らしの 設備ガイド |
住宅や建材は、ナフサショックの影響をとくに受けやすい分野です。窓枠の樹脂サッシ、給排水の塩ビ管、断熱材、塗料など住宅をつくる部材の多くが、ナフサ由来のプラスチックや溶剤でできているからです。


たとえばLIXILは、住宅サッシ・ドアを5月から平均5%値上げし、さらに10月には平均13%程度への追加改定を発表しました。積水化学工業も、塩化ビニル管を12%以上、ポリエチレン管を20%以上引き上げています。



大手メーカーの値上げが相次いでいます。
とくに断熱材や塗料は、各社が30〜80%規模の値上げを進めており、住宅に使う資材が幅広く値上がりしている状況です。
こうした値上げが積み重なると、家1棟あたりでは100万〜150万円ほどコストが増えるという見方も出ています。



これから家を建てる人にとっては、いつ見積もりを取り、いつ発注するかで金額が変わる可能性があるので、早めの情報収集が大切になりそうですね。
| 製品 | 値上げ・影響の動き | 主な発表元 |
|---|---|---|
| 樹脂サッシ ドア | LIXILがサッシ平均5%、 ドア平均5%値上げ (5/1受注分〜) (10月受注分〜平均13%) ビルサッシは平均7% (4/1〜平均10%) | LIXIL |
| 塩ビ管 ポリエチレン管 | 積水化学工業が 塩化ビニル管12%以上、 ポリエチレン管20%以上 (5/7出荷分〜) カラーパイプは30%以上 | 積水化学工業 |
| 断熱材 | 約40%規模 | 業界報道 |
| 塗料 | 30〜80%規模 | 業界報道 |
ナフサショックの住宅に与える影響や対策については、こちらの記事でくわしく解説しています。


ナフサショックの影響は、暮らしの身近な製品だけでなく、医療・自動車・電子部品といった幅広い産業にも広がっています。



これらの分野でも、ナフサ由来の樹脂やゴムが、製品のあちこちに使われています。
たとえば医療の現場では、使い捨ての注射器や点滴バッグ、透析に使うチューブなどが石油化学原料に頼っています。自動車も、内装や配線、タイヤなど多くの部品にナフサ由来の素材が使われます。電子部品では、基板やコネクタなどの樹脂部分が当てはまります。





小さなゴム部品が足りないだけで、生産設備が止まってしまうこともあります。
帝国データバンクの調査では、ナフサ不足によって国内の製造業の約3割に調達リスクが生じる可能性があると試算されています。つまりナフサショックは、特定の業界だけの話ではなく、私たちの社会を支えるものづくり全体に広がっているのが実態です。
| 対象 | 値上げ・影響の動き | 主な発表元 |
|---|---|---|
| 注射器 点滴バッグ 透析チューブ | 一部の医療品が 4月半ば〜8月ごろに 供給不足の可能性 | 野村総研所 /オルタナ |
| 内装部品 配線 タイヤ | 代替のない部品の不足で 生産が滞る懸念 | 帝国データ バンク |
| 電子部品 | 国内製造業の約3割に 調達不足の懸念 | 帝国データ バンク |





「この値上がりは、いったいいつまで続くの?」
ここまでの解説と商品の値上げ状況を読んで、気になっている人も多いと思います。



結論から言うと、終わる時期をはっきり言い切れる人は、今のところ誰もいません。
ナフサショックがいつ落ち着くかは、引き金になった中東情勢がどう動くか次第だからです。2026年内の短期的な見通し、2027年以降の中長期シナリオ、そして過去に起きた「ウッドショック」や「オイルショック」と比較して、今回の影響がいつまで続きそうかを整理していきます。
それでは、順番にみていきましょう。
2026年内は、品不足が少しずつ解消されていくが、一方で、価格転嫁による値上げが広く行きわたって定着する見通しです。また、部分的には新規受注の停止や納期の遅れも続く、という見方が広がっています。



品不足は解消されるが、値上げは続きそうです。
値上げが続くのには理由があります。原料高が製品価格に反映されるまでには時間差があり、いったん上がった価格はすぐには下がりません。
一方で、品不足は政府の備蓄放出や代替調達によって、物が来ない状態は改善に向かうとみられます。
仮にホルムズ海峡の通航が回復しても、ナフサの供給再開には2〜3か月ほどのタイムラグがあるとされます。
住宅設備では、4月にユニットバスの供給が混乱しました。TOTOが新規受注を一時停止し、クリナップも4月15日から受注を見合わせ、LIXILは納期を未定としました。その後はいずれも回復に向かい、TOTOが4月20日、クリナップが4月22日に新規受注を再開、LIXILも納期回答を順次再開しています。



住宅設備においても、品不足から値上げへと移っています。
2026年内は受注停止や品不足といった買えない混乱は、いったん落ち着きそうです。ただし、ここからは値上げ(価格転嫁)が本格化し、買えるけれど高いという状態が続いていくとみられます。
2027年以降がどうなるかは、引き金となった中東情勢の動き次第です。



中東情勢が早く落ち着くか、長引くかによって、大きく3つのシナリオが考えられています。
情勢が早く落ち着けば供給が戻って価格も下がる正常化、不安定さが長引けば価格が高いまま続く高止まり、さらに解決が見えないまま長期化すれば、供給構造そのものが変わる構造変化です。
どのシナリオに進むかは、まだ誰にも断言できません。下の表で、中東情勢の動きごとに、3つの違いを整理しておきます。
| 中東情勢の動き | 価格・供給の見通し | |
|---|---|---|
| ①早期解決 (正常化) | 2026年夏ごろに 通航が安定して 回復 | 供給が段階的に戻り、 価格は2027年前半に かけて徐々に落ち着く |
| ②長引く (高止まり) | 不安定な 状態が続く | 備蓄放出・代替調達で 供給は保たれるが、 価格は高いまま 下がらない 2027年以降も影響が残る |
| ③長期化 (構造変化) | 解決が見えず 長期化する | 調達先の変更や 石化設備の閉鎖で 供給構造が変わり、 情勢が落ち着いても 以前の安さには戻らない |
3つのうちどれに進むかは、中東情勢次第でまだ見通せません。ただ、いずれのシナリオでも、以前と同じ安さにすぐ戻るわけではないと言えるでしょう。
ナフサショックがこの先どうなるかを考えるなら、過去に起きた似た出来事がヒントになります。代表的なのが、ウッドショックとオイルショックです。
ウッドショックとは、2021年ごろから始まった木材価格の高騰です。
コロナ禍が収束に向かい住宅需要が急に増え、物流の停滞も重なって価格が跳ね上がりました。注目したいのはその後の動きで、価格は一度ピークを過ぎたものの、ウッドショック前の水準には戻らず、高止まりしたまま定着しました。
オイルショックとは、原油価格の急騰をきっかけに「紙がなくなる」というデマが広がって起きた、トイレットペーパーの買いだめ騒動です。
実際には紙は石油不足と直接関係が薄かったのですが、不安が買い占めを生んだ歴史的な事例です。
こうした過去の例から、ショックのあとには大きく3つのパターンに整理できます。
| 特徴 | 半年〜1年で需給が安定し、 価格も元の水準に戻る |
|---|---|
| 該当事例 | 代替の供給が早く 確保できたケース |
| ナフサショック での可能性 | 中東情勢が早く沈静化し、 輸入ルートの分散が 成功すれば該当 |
| 特徴 | 価格は元に戻らず、 新しい水準で定着する |
|---|---|
| 該当事例 | ウッドショック後の住宅資材 (以前の水準に戻っていない) |
| ナフサショック での可能性 | 複数の専門家が、 現時点でこのパターンの 可能性が最も高いと見る |
| 特徴 | 長期化で業界再編や 代替素材への移行が起きる |
|---|---|
| 該当事例 | オイルショック後の 省エネ化・脱石油の流れ |
| ナフサショック での可能性 | 中東情勢の長期化と 国内石化設備の 縮小が進めば該当 |
現時点で最も可能性が高いとされるのは、②のL字高止まり型です。つまり、ナフサショックも、いずれ落ち着くが、価格は以前ほどの安さには戻らない可能性が高い、と考えておくのが現実的です。
住宅業界を直撃したウッドショックの実例や学べる教訓は、こちらの記事でくわしく解説しています。




ナフサショックをめぐっては、政府や業界、専門家の意見にギャップがある状況が続いています。



どちらかが嘘をついているわけではありません。
これは、政府・業界・専門家は、それぞれ違う角度から同じ問題を見ているため、お互いの主張がズレて見えるのです。
このパートでは、政府の「足りている」という説明、業界の「現場は厳しい」という実感、そして専門家の「総量はあるが配分に問題」という見方を並べて整理します。
3者の主張を整理すると以下のようになります。
| 立場 | 主な主張 | 見ている部分 |
|---|---|---|
| 政府 | 国内需要のおよそ4か月分を 確保しており、 供給は足りている | 国全体の総量 |
| 業界 | 新規受注の停止や 価格改定が相次ぎ、現場は厳しい | 材料と製品、 現場の動き |
| 専門家 | 総供給量は足りているが、 流通・配分が目詰まりしている | 総量と現場 の流通 |
それぞれの意見を順番に解説していきます。
まず、政府の立場を一言でまとめると、「供給は足りている」です。2026年4月5日、高市首相は自身のX(旧Twitter)で「少なくとも国内需要4カ月分を確保している」と説明しました。
昨日の一部報道番組で、ナフサの供給について、「日本は6月には供給が確保できなくなる」との指摘がありました。…
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) April 5, 2026



どうしてそう言えるのかな?
政府がそう言える根拠は、複数の手立てで供給を維持できると見ているからです。
これらの見立てと併せて、首相は「中東以外からのナフサ輸入量を倍増する」とも強調しています。
首相がXで示した「国内需要の4カ月分確保している」の内訳は、調達済みの輸入ナフサと国内精製の2カ月分に、中間段階の化学製品の在庫2カ月分を合わせたものです。



2割しかなかった中東以外からのナフサ輸入は、今後大幅に増やす方針が政府から示されています。
※下記のグラフについて、日経新聞でいいのか、財務省の貿易統計とするのか相談


ここでのポイントは、ナフサそのものの在庫が4ヶ月分あるのではなく、国内精製分や中間製品の在庫を合わせた数字という点で、ナフサが4カ月分倉庫にあるという意味ではありません。



この前提を理解しておくことが大切です。
政府が「足りている」と説明する一方で、ナフサを使う現場では、新規受注の停止や値上げが次々と起きています。政府の発表と、実際の供給網(サプライチェーン)との間には、大きなギャップが生じています。



政府の見解と製造現場の現状に、食い違いがでています。
なぜなら、ナフサ由来の原料の値上がりや品薄の負担は、製品メーカーに直接のしかかっているからです。原料が確保しにくくなれば、メーカーは生産量を絞ったり、価格に転嫁したりせざるを得ません。



とくに、ナフサ由来の素材を多く使う住宅設備や建材の分野で、その動きが目立っています。
実際、住宅設備や建材のメーカーでは値上げが相次ぎ、TOTOが一時ユニットバスの受注を停止するなど、供給の混乱も起きました。カルビーがパッケージを白黒に切り替えた例も、その一つです。
このように、現場では受注停止・納期遅延・価格改定が同時に起きています。政府の「足りている」と、現場の「必要なものが届かない・値上がりしている」という実感には、はっきりとしたギャップがあるのが実情です。
ここまで政府と業界の意見を解説しましたが、政府と業界、どちらの言い分も実は正しいと専門家は見ています。



それは、総量は確保できていても、それが必要な場所に行きわたっていない、という状態だからです。



ポイントは流通の目詰まりだそうです。
タンカーから加工メーカーまでの上流は、すでに価格転嫁が済んでいて、流通も滞っていません。ここは「足りている」状態です。
一方で、その先の商社・問屋から消費者までの下流は、価格転嫁しきれていません。すると、上流と下流の境目で価格のギャップが生まれ、商社・問屋は「この値段では流せない」と流通が止まってしまいます。





これが目詰まりの正体というわけです。総量は足りていても、価格ギャップのせいで流通できていない状況です。
さらに柳本氏は目詰まり以外の要因も指摘しています。塗料やインク、シンナーの原料になるC4・トルエン・キシレンが、価格の高いガソリン向けに優先して使われてしまうことで、原料がいっそう手に入りにくくなっているというのです。



つまり、単純な足りる・足りないではなく、流通と配分の問題が複雑に絡んでいます。


政府の「足りている」も、業界の「足りない」も、どちらも事実です。問題は量そのものではなく、流通と配分にあります。
末端まで価格転嫁が行きわたる2026年7月ごろに目詰まりは解消へ向かうものの、それと引きかえに価格は高いまま定着するとみられます。ナフサ不足は解消されても価格高騰は続く、というわけです。
ここまで解説したそれぞれの立場を整理すると、施主が押さえておくべきポイントは2つです。



理由は次のとおりです。
専門家が指摘するとおりナフサショックの問題は、ナフサの総量ではなく流通・配分にあるからです。総量そのものは確保されているため、かつてオイルショックのときに起きたトイレットペーパー騒動のように、店頭から物がいっせいに消える、という事態は考えにくいといえます。
しかし、原料高はすでに製品の価格へと順番に転嫁されており、この流れは止まりません。
供給不足だったは、2026年7月ごろにかけて解消に向かうと見られています。ただし、それは価格転嫁が末端まで行きわたることの裏返しでもあり、品薄は和らいでも、そのぶん値上げは定着していく、ということです。



過去のウッドショックでも、価格は高止まりしたまま、以前の水準には戻りませんでした。
だから、いま施主に必要なのは、「すぐになくなる」とあわてることではなく、「これからじわじわ値上がりする」と冷静に受け止めて、早めの情報収集や資金計画で備えていくことが、いちばんの対策になります。





「念のため、いまのうちに買いだめしておいたほうがいいのかな?」



このように感じる人も少なくありません。ですが、ここで一度立ち止まって考えてほしいです。
実は、あわてた買いだめは、かえって品薄を悪化させてしまうこともあります。一方で、「まったく備えなくていい」というわけでもありません。ここでは、「買いだめすべき」と言われる理由と、「買いだめは不要」と呼びかける根拠について解説していきます。
それでは、両者の言い分をみてみましょう。
このような〇〇ショックと言われる時に、「買いだめすべき」という声が出るのは自然なことです。値上げや品薄のニュースが続けば、「なくなる前に確保したい」と感じるのは、当たり前の反応です。
背景には2つの要因があります。
実際、ナフサをめぐるSNSの投稿やニュース報道は過熱し、その不安から一部の地域では、ごみ袋の買い占めにまで発展してしまいました。複数の自治体が「在庫に問題はないので落ち着いて」と呼びかける事態になっています。



不安は連鎖してしまいますね。
つまり、「買いだめしたい」と感じること自体はおかしくありません。ただし、その不安やあせりのまま買い占めるのが正解かは別の話です。
過熱する買いだめ行動に対して、政府も業界団体も口をそろえて「あわてた買いだめは不要」と呼びかけています。
理由は2つです。
たとえばトイレットペーパーは、約97%が国内生産で、原料も古紙やパルプが中心で、中東依存はほとんどありません。それでも買いだめで一時的に出荷量が急増し、業界団体は「直ちに供給は止まらない」と冷静な対応を呼びかけました。
つまり、「足りているのに、買いだめが品薄をつくる」というのが実情です。



消費者の行動が、騒動悪化の原因のひとつになってしまいます。
ここまでで説明したとおり、大量の買いだめは必要ありません。とはいえ、まったく備えなくていいわけでもないので、目安は「いつもより、少しだけ多め」です。
理由は、品薄そのものより値上がりが続くと考えられるからです。今ある在庫が切れる直前にあわてて買うと、その時には値段が上がっているかもしれません。そこで、ふだん使うものを少し多めに持っておけば、価格の変動に振り回されず、心にも余裕が生まれます。



備蓄の目安は以下のとおりです。
| 品目 | 備蓄の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| トイレット ペーパー | ふだんの 1〜2週間分 | 紙は国産中心で 品薄リスクは低め。 あくまで“ゆとり” |
| 洗剤・歯磨き粉 などの日用品 | いつもの予備 +1個程度 | 容器・包装がナフサ由来。 少し多めで値上げに備える |
結局のところ、特別な準備はいりません。「いつもの買い物を、少しだけ多めに」たったそれだけで、値上げにも品薄にも、あわてず向き合うことができます。


ナフサショックによる値上げや品薄の解説をしてきました。解説を読んで不安になってしまった人もいると思いますが、ナフサショックによる負担をやわらげるために、国や自治体は補助金や支援策を用意しています。
| 制度 | 対象者 | 金額 |
|---|---|---|
| 住宅ローン減税 | 家を建てる 人買う人 | 年末ローン残高の0.7%を 所得税などから控除 |
| 住宅省エネ 2026事業 | 省エネ住宅を 新築する人 改修する人 | 工事内容に応じた補助 |
| 雇用調整助成金 | 事業縮小した 中小企業など | 休業手当などの一部を助成 |
| 自治体の 物価高対策 | 住民・世帯 (地域による) | 給付金、商品券 光熱費などの軽減 |
それでは紹介していきます。
これから家を建てる人に紹介したいのが、住宅ローン減税と住宅省エネ2026事業です。値上げの負担を、税の軽減や補助で軽くしてくれる制度です。
住宅ローン減税とは、年末のローン残高の0.7%にあたる金額を、その年の所得税(引ききれない分は一部住民税)から差し引ける制度です


住宅省エネ2026事業とは、国土交通省・経済産業省・環境省が連携して、省エネ住宅の新築や省エネ改修の費用を補助する事業の総称です


この2つの施策は、ナフサショックで建築コストが上がるいま、戻ってくるお金や補助が、家計の大きな支えになります。しかも国は、省エネ性能の高い住宅ほど手厚く優遇する方針を強めています。



省エネ性能のよい家を建てれば、減税や補助で有利になります。
たとえば住宅ローン減税では、省エネ基準を満たす新築なら最長13年間の控除が受けられ、子育て世帯・若者夫婦世帯には借入限度額の上乗せもあります。
住宅省エネ2026キャンペーンは、事業の中心となる「みらいエコ住宅2026事業」で、省エネ住宅の新築や省エネリフォームが補助の対象です。どちらも、省エネ性能が高いほど有利になるのが共通点です。


これらの制度は、住宅の性能や世帯、入居する年によって、金額や条件が細かく変わります。さらに、省エネ基準を満たさない新築は対象外になるなど、年々要件が厳しくなる傾向もあります。
2026年7月時点の情報です。実際に活用するときは、必ず国土交通省や各事業の公式サイトで最新の条件を確認してください。
ナフサショックの住宅に与える影響や対策については、こちらの記事でくわしく解説しています。


中小企業の経営者に知っておいてほしいのが、厚生労働省の雇用調整助成金です。
雇用調整助成金とは、景気の悪化などで事業が苦しくなったとき、従業員の雇用を守りながら使える制度です。中東情勢による業績悪化でも使えます
この制度があるのは、景気が悪いときに「従業員を解雇するしかない」と、会社が追い込まれるのを防ぐためです。
従業員に、休業・教育訓練・出向のいずれかをしてもらって雇用を守った場合に、雇用調整助成金で、その費用の一部が助成されます。助成率は中小企業なら原則3分の2で、1人1日あたりの上限は8,870円です。



窓口は、最寄りの都道府県労働局やハローワークです。
2026年7月時点の情報です。助成率や上限額、対象の条件は年度によって変わります。利用するときは、厚生労働省の公式サイトや労働局で、最新の内容を確認してください。
住んでいる自治体によっては国の制度とは別に、独自に行っている物価高対策が用意されていることがあります。
各自治体は国から配られる物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して、地域の事情に合わせた物価高対策を行い支援します。
物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金とは、国が市区町村に配り、地域の実情に合わせた物価高対策に使ってもらう交付金のことです。
低所得世帯やこどものいる世帯への現金給付や電気代・ガス代やガソリン代負担軽減、地域で使えるプレミアム商品券の配布など、内容はさまざまです。商品券では、1人あたり5,000円〜30,000円相当になるケースもあります。



自治体ごとに、対象・金額・期間がまったく異なります。
自分の地域でどんな支援があるかは、お住まいの自治体名+物価高 補助金で検索するか、市区町村の公式サイトを確認してください。知らないままだと受け取れないものも多いので、一度チェックしておくことをおすすめします。
ナフサショックについて、検索されるよくある質問をまとめました。
確認していきましょう。
ナフサは、プラスチックや塗料など、さまざまな製品の原料です。そのため、不足すると幅広い分野に影響が出ます。主に考えられるのは、次の4つです。
ただし、「すぐに何もかもなくなる」わけではありません。多くは、品切れよりも値上げという形でじわじわ表れます。
それぞれの詳しい内容は、ナフサショックで何がなくなる?値上げするものリストでくわしく解説しています。
現時点の見通しはこうです。短期的には、2026年内は受注の混乱は和らぐものの、値上げ(価格転嫁)は続くと見られています。中長期的には、中東情勢が落ち着けば、2027年以降に正常化へ向かうシナリオが考えられます。ただし、専門家の間では「価格は以前ほど安くは戻らない(高止まり)」という見方が最も有力です。



正直なところ、「いつ終わる」と言い切れる人は、今のところ誰もいません。
より詳しい見通しは、ナフサショックの影響はいつまで続く?2026年の終息見通しで解説しています。
2026年に家を建てる・買う人には、負担を軽くしてくれる制度がしっかり用意されています。代表的なのが、次の2つです。
金額や条件は、住宅の性能・世帯・入居する年によって変わり、年度ごとに見直されます。
詳しい解説は、ナフサショックでも活用できる補助金・支援策を確認してみてください。
ここまで、ナフサショックの原因から、暮らしや住宅への影響、いつまで続くのか、そして使える補助金までを見てきました。



ナフサショックでいちばん大切なことは、焦らないことです。
ナフサショックは、たしかに私たちの生活に幅広く影響します。ですが、パニックになったり、買い占めたりする必要はありません。「すぐになくなる」のではなく、「これからじわじわ値上がりする」と理解しておくことが、冷静な行動の第一歩です。
そのうえで、できることは3つです。
ナフサショックは、正しく理解すれば、過度に恐れる必要はありません。焦らず、落ち着いて、できる備えから始めていきましょう。
ナフサショックの住宅に与える影響や対策については、こちらの記事でくわしく解説しています。


本記事は2026年7月時点の情報をもとに作成しています。最新の動向は、経済産業省などの政府公式発表をご確認ください。


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